Power Appsモデル駆動型アプリとは

Power Appsで作成できるアプリタイプが複数用意されていることをご存知ですか?
キャンバスアプリ、モデル駆動型アプリ、ポータル(旧名)の3つです。
(※ポータルは2022年に機能が独立し、名前がPower Pagesになりました。)
用途や場面に応じてこれらのアプリタイプを選択または組み合わせて開発生産性を高めることができるように、3つのタイプが用意されています。

これらの中でもキャンバスアプリがよく知られており知名度が高いアプリタイプで、反対にあまり知られていないのがモデル駆動型アプリです。またモデル駆動型アプリを知っていても、「なんか難しそう…」と思われがちです。
しかし、上述したように用途や場面に応じて使用すれば、モデル駆動型アプリはキャンバスアプリよりも簡単にアプリが作成できます。

ではモデル駆動型アプリはどのような場面で効果を発揮できるのか、特徴と併せて本記事でご紹介していきます。
(※旧ポータルであるPower Pagesは機能が独立したこと、アプリではなくWebサイトの作成で使用するタイプであることから本記事では触れていません。)

モデル駆動型アプリの概要

まずはモデル駆動型アプリの概要について簡単に説明します。
モデル駆動型アプリとは、データベースのデータに基づいて作成されるアプリです。
具体的には、Microsoftが提供しているクラウド型データベース「Dataverse」を「モデル」として、それに連動する形で作られるアプリとなります。キャンバスアプリは先にデザインを作成して後でデータを挿入するような作り方に対し、モデル駆動型アプリは先にデータを作成してアプリの構成要素を準備してからデザインを決めていくようなイメージです。

モデル駆動型アプリはデータ管理やデータ操作に特化したアプリタイプになります。
大量のデータに対して入力・編集・検索などを行いたい場合に適しており、公式でも、現場で使用するよりはデータ管理者向けのアプリだと言われています。

以下の画像のような、データの一覧画面とそのデータの詳細画面がモデル駆動型アプリの主な構成要素です。この画面を作るとなると一見難しそうに見えますが、これはローコードで作成できる範囲で作成しました。


ローコードで高速かつ高品質なアプリが作成できるのがモデル駆動型アプリの強みです。
顧客管理や案件情報の管理、商品情報の管理などデータ管理にも様々ありますが、今日どの企業でも必要になってくるのがデータです。そんな企業のデータ管理をサポートできるようなアプリタイプとなっています。

モデル駆動型アプリの全体像をもう少し詳しく知りたい方に!



上の画像がモデル駆動型アプリの構成を図式化したものです。
各テーブルにはビューやフォームなどと呼ばれる構成要素が存在しており、これらがアプリ画面に反映されることになります。これらの構成要素を各テーブルごとに設定し、必要であればカスタマイズを加えていくことでアプリの要素が準備されていくというイメージです。
データが用意できればアプリのデザイナーでデータの表示・非表示や配置場所を指定していきます。
また、テーブル間でリレーションを組むことで一方のテーブルからもう一方のテーブルを参照できるようになり、アプリ画面上でも参照が行えるという仕組みです。

モデル駆動型アプリの特徴

モデル駆動型アプリの特徴を5つご紹介します。
キャンバスアプリとの大きな違いにもなりますので、構築したいアプリやシステムがどちらに適しているのか参考にしてみてください。

構築スタイル

モデル駆動型アプリでは1機能単位の構築はもちろん、複数機能単位での構築が可能です。つまり、複数機能をまとめて1つのアプリで管理できるということです。
例えば、顧客情報とアプリをしているユーザーの情報をどちらも管理したい場合、1つのアプリ内でページを切り替えるイメージでどちらも管理できるようにすることが可能です。


複数機能まとめることができると、アプリが乱立してしまい管理が煩雑になるのを防ぐことができるため、様々な情報を管理したい時はモデル駆動型アプリが適しているといえます。 また、現時点では1つのデータ・情報しか管理する予定はないが、将来的には複数のデータを1つにまとめていきたいと考えている場合もオススメです。
例で挙げたように1つのアプリ内に機能を追加することができるので、余分なランニングコストを削減するとともに、同じPower Apps内であるためデータ・情報の紐づけもスムーズに行えます。

Excel・Wordとの親和性

Power Platform自体がMicrosoft製品なので親和性があるのは当然なのですが、モデル駆動型アプリには標準で使用できる便利な機能が備わっています。(※ここで言う「標準」とはカスタマイズやプログラミング無しで使用できることを指しています。)

1つめはExcelオンラインが使用できることです。
モデル駆動型アプリでは、アプリ上からExcelオンラインを開くことができ、データの編集を簡単に行えるというメリットがあります。
データに対して1件ずつ編集を行う必要がないので手間を省くことができますよね。
Excelオンラインが利用できる点はデータ管理に特化していると言える1つの理由になっているかと思います。


2つめはWordテンプレートを使用できるということです。
あるデータを帳票として出力したい場合、テンプレートを作成しておけばそのデザインで帳票を出力することができます。
アプリ上の情報が紙で必要な場合にもそれを印刷すれば良いので、かなり重宝される機能です。こちらも標準で使用できる機能になっています。

デザイン性

先ほど述べたように、モデル駆動型アプリはデータを基にアプリがほぼ自動で作成されます。ですが、その分デザインがほぼ固定されてしまいます。
アプリのヘッダーの色やデータの配置を少し変えることはできますが、キャンバスアプリほどのデザイン性はありません。どうしてもデザインを変更したい場合はプログラミング知識とスキルが必要になります。

Dataverseの使用

モデル駆動型アプリを使用する場合、データベースには「Dataverse」を使用する必要があります。
キャンバスアプリのようにSharePointやExcelオンラインを仮想データベースとして使用することはできません。
Dataverseもローコードで使用でき、SQL等の専門的な知識は必要ないので難しくはないかと思います。また、DatavarseはAzure上で管理されており、バックアップやデータ閲覧制御のセキュリティ面でも安心要素が多いデータベースです。

業務プロセスのフロー化


画像の赤線で囲ってある部分は業務プロセスをフロー化したものです。画像では例として承認フローを作成しています。
こういったフローを使用できるのもモデル駆動型アプリの特徴です。プロセスを可視化したり、フローにすることで作業の属人化を防いだり、人的なミスを減らすといった利点があります。

キャンバスアプリでも作りこめば作成できると思いますが、デザインや機能を1から開発しなければならないので、稟議システムや精算申請システムなどを構築したい場合はモデル駆動型アプリの方が簡単に作成できるのではないかと思います。

まとめ

今回はモデル駆動型アプリをご紹介しました。画面だけ見ると難しそうですが、ローコードで構築できるので内製化を行うことも可能なのではないかと思います。
今回ご紹介した内容以外にも、モデル駆動型アプリ・キャンバスアプリ共にまだまだメリットや特徴があります。自社で作成するアプリやシステムはどちらで構築すれば良いのか見極めることで、より効率的で効果的なシステム構築が可能になります。
どちらが適しているかあまり判断できないという方はお打ち合わせにてシステムのご要件をお伺いさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

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